INTERVIEW

STUDIO掲載用タグ
誰にでもある、「好きなもの」。それは私たちの喜び、楽しみ、癒やし、原動力となり、時には人と人とを繋いでくれることも。そんな、人それぞれが持っている「好きなもの」について、お話をお聞きします。今回ご登場いただくのは、全国のミュージアムを巡り、グッズの魅力や役割を研究・発信しているミュージアムグッズ愛好家の大澤夏美さん。ミュージアムグッズには、その館が大切にしていることや、つくり手のこだわりが詰まっていると語ります。グッズの魅力から、暮らしのなかでの楽しみ方、ミュージアムをもっと身近に感じるヒントまで、たっぷりとうかがいました。

撮影:菅未里
おおさわ・なつみ/ミュージアムグッズ愛好家。札幌市立大学でデザインを学び、北海道大学大学院でミュージアムグッズを研究。全国の館を訪ね、グッズの背景にあるストーリーを取材・発信している。著書に『ミュージアムグッズのチカラ』シリーズ(国書刊行会)など。オンラインショップ「百物気 momonoke」では、ミュージアムグッズに関するZINEなどを販売。
Instagram:@osawa_natsumi
ショップ:百物気 momonoke

子どものころからモノを集めるのが好きでしたが、転機は大学3年生のとき。学芸員資格を取るために、北海道大学の博物館で実習を受けたんです。配属は昆虫のチームで、キャンパスに罠を仕掛けたり、蝶を追いかけたり。普段、パソコンに向かってデザインをしていた私にとっては、まったく違う世界でした。そうした活動を通じて、博物館には資料を集めて守り、研究し、社会に伝える役割があることを知りました。「博物館ってこんなにおもしろい場所なんだ」と実感し、もっと多くの人にこのおもしろさを知ってほしいと思うようになったんです。そこで、自分が学んできたデザインと結びついたのがミュージアムグッズでした。グッズは、その館がどんな場所で、何を大切にしているのかを伝えるメディアなのではないかと考えて、大学院でも研究を続けました。研究も兼ねてグッズを集め始めてから20年近くになります。今ではコレクションの数は約3,000点に達し、作業部屋の半分は資料の収蔵庫のようになっています。

静岡市美術館は、館内のピクトグラムに至るまでデザインが行き届いていて、大好きな空間です。ロゴマークは平面なのに奥行きを感じさせる形で、私には、さまざまなクリエイティブを受け止める「器」のようにも見えます。以前から「このロゴを立体にしたら、どんな形になるんだろう」と思っていたので、カップとして実現したのがとてもうれしかったんです。デザインは、ロゴも手がけた柿木原政広さんによるもの。白地に黒のラインという潔さと、スタイリッシュなフォルムが、美術館の佇まいにも重なります。美術館で感じたデザインの魅力を、暮らしのなかでも楽しめるところに惹かれました。
所蔵品や建築、ロゴなど、その館ならではの財産を生かしたオリジナルグッズに注目しています。作品のどの部分を切り取ったのか、なぜこの素材を選んだのか。地域の伝統工芸や技術を取り入れたものや、来館者の声から生まれたものもあって、ひとつのグッズから館と地域のつながりが見えてくるんです。

標津サーモン科学館は、北海道の標津町にある、サケの仲間を中心に紹介する水族館です。このマスキングテープは、魚の姿を描くのではなく、ヤマメの体の模様だけを抜き出して柄にしています。ヤマメを知らない人でも「この柄、素敵」と手に取って、生き物への関心が広がるかもしれない。見慣れたものを違う角度から見せてくれる、ミュージアムグッズならではのおもしろさがあります。
マスキングテープ【3柄】
標津サーモン科学館
¥495

必ずしも使うために買わなくてもいいと思うんです。展示で見て好きになった作品だったり、ショップでよく見たらどうしても気になってしまったものだったり。「スルーできなかった」「連れて帰らざるを得なかった」という気持ちを大切にしてほしいですね。贈り物探しにもおすすめですよ。誰かの偏愛にぴったりはまる、ちょっと変わったものに出会えるかもしれません。文具や手帳が好きな方なら、ミュージアムグッズの文具にも、ぜひ注目してみてほしいです。

あると思います。例えば、上野動物園で買ったアジアゾウとアフリカゾウのぬいぐるみ。並べてみると、体の形が違うんです。アジアゾウ(写真左)は頭のてっぺんがへこんでいて、背中がお尻に向かってなだらかに下がっている。一方、アフリカゾウ(写真右)は耳が大きく、背中に起伏がある。それぞれの特徴が再現されています。「近所の動物園のゾウはどっちだろう」と実物を見たくなりました。動物園のぬいぐるみは飼育員さんの監修が入っていることが多く、こだわりが詰まっています。美術館は好きでも、動物園は子どものころ以来行っていないという方も多いかもしれません。グッズは、普段行かないジャンルへの扉にもなるんです。
「勉強してから行かないと」とか「作品を理解しないと」と思う方もいますが、まずは気軽に入ってみてほしいです。「建物がきれい」「スタッフさんが優しそう」「無料なら見てみようかな」。そんな入り口でいいんです。ショップで気になるものを見つけて、「この作品があるなら、展示も見てみよう」と展示室に向かうのも楽しいですよ。大切なのは、居心地がいいと思えるポイントを見つけること。もっと知りたくなったら、ホームページを見たり、本を読んだりすればいい。楽しみ方は、そこから広がっていくと思います。
私にとっては「ストーリーの塊」です。館の研究や歴史、地域とのつながりなど、たくさんの物語が詰まっています。また、グッズをきっかけにある作品を知り、「まるで自分のためにつくられたみたい」と心を動かされることもあるかもしれない。手に取った人の思い出や好きなものと結びつくことで、その人にとって特別なものにもなるんですよね。そんなふうに、自分とミュージアムとのつながりを見つけるきっかけにもなってくれると思います。

ウォンバットだけでなく、エミューやワラビー、ヤギ、ヒツジもいるのがいいですね。それぞれの姿を見比べられるので、小さな図鑑を持ち歩くような気分になれます。スマホに貼ったり、背の順に並べて行列をつくったりしても楽しそうです。
屋外にもスマホにも貼れる!ステッカーセット
五月山動物園ミュージアムショップ「ウォンバットはうす」
¥880


古代の大阪の地図に、今の道路や線路を重ねたシート。土地の歴史や発掘調査の成果を、ピクニックシートにしてしまうのがおもしろいです。大阪を散策して、ひと休みするときにこれを広げたいですね。「ここは昔どんな場所だったんだろう」と想像しながら、お弁当を食べてみたいです。
<コラボ>難波京ピクニックシート[大阪歴史博物館限定]
大阪歴史博物館 Online shop
¥2,200


美術館で作品を見て「自分も何かつくりたい」と感化される気持ちを、応援してくれるようなグッズですね。Tシャツではなく、実習着というのもおもしろい。別売りのワッペンでカスタマイズもできるので、コート感覚で普段の服に合わせてみたいです。
金沢21世紀美術館オリジナル実習着
金沢21世紀美術館ミュージアムショップ
¥8,800

※ご紹介した商品は、一部に完売している可能性があります。
アプリでショップをフォローすると、最新情報を受け取れます。