INTERVIEW

2026.3.17
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2026/3/17

誰にでもある、「好きなもの」。それは私たちの喜び、楽しみ、癒やし、原動力となり、時には人と人とを繋いでくれることも。そんな、人それぞれが持っている「好きなもの」について、お話をお聞きします。今回ご登場いただくのは、音楽家のふくしひとみさん。狸や梟に扮したり、方言でラップをしたり、トイピアノを奏でたり。独自の世界観でパフォーマンスをするふくしさんの演奏会には、ぬいぐるみも登場し一緒に演奏しています。音楽隊のメンバーである、たくさんのぬいぐるみと一緒に生活するふくしさんに、ぬいぐるみの魅力について語っていただきます。

ピアニスト、ダンスアーティスト、イラストレーター。岩手県出身。3歳からクラシックピアノを学ぶ。ぬいぐるみとともに演奏する独自のスタイルがSNSで話題に。自主企画公演にも積極的に取り組み、音楽、踊り、文学、美術を横断し、新たな表現の可能性を探り続けている。著書に『ふくしひとみの不思議愉しいカクテルレシピ』(KADOKAWA)。Pay IDでオリジナルグッズを販売するオンラインショップ「日本どうぶつの会」を展開している。
Instagram:@fukushihitomi
オンラインショップ:日本どうぶつの会

私はどうぶつが好きで、小さい頃からさまざまなどうぶつと共に育ちました。けれどその全てのどうぶつが、人間と同じような感情表現をするとはかぎりません。例えば、単純に「目を合わせる」という習性がないどうぶつを目の前にしたとき、子供心に「この子は私と仲良くする気がないんだ」と勘違いして、勝手にショックを受けたことも。その一方で、ぬいぐるみは「いつでも気軽に抱きしめられる」と思わせてくれる存在でした。そうした理由から、自然と惹かれていったのかもしれません。昔の写真には、数えきれないほどのぬいぐるみに囲まれた姿が残っています。幼い頃から、私のそばにはいつもぬいぐるみがありました。
現時点では、家に50ほどのぬいぐるみがいます。もしや勝手に繁殖しているのではと思うほど、いつのまにか数が増えていました。とはいえ、私の居住スペースでいつも一緒に暮らしているわけではなく、ぬいぐるみたちはぬいぐるみ専用の部屋で暮らしています。私の演奏会には、演奏メンバーとしてぬいぐるみが出演することが多いのですが、その際は出演者オーディションを行っています。新しくぬいぐるみを迎えるときも、どこかメンバーを採用するような気持ちで見ていることが多いかもしれません。基本的には音楽を共に演奏する仲間ですが、なかにはマネージャーのような役割として、演奏会に同行する子もいます。

去年の夏ごろに迎えた2匹です。当時は「地獄」をテーマにした演奏会の準備中で、魔女の演奏パートナーとして黒猫を選びました。この子たちはトイピアノを弾くことができます。お互いがお互いのバディのような存在で、ずっと一緒に練習してきました。一度、試しに1匹だけでステージに出してみたことがあったのですが、なぜか調子が上がりませんでした。そういうわけで、今では必ずそろって登場させることにしています。

この子は、主に鳴き声で演奏に参加しています。この子の前にも鳴き声担当の犬がいましたが、残念ながら引退してしまったので、その後任を探していました。先代よりも少し声が高く、動きはどこか子犬のよう。それでも、もう3年ほど頼もしく支えてくれています。垂れ耳で洋犬風の見た目をしているので、洋風のコンセプトの公演で登場することが多いです。

ゲラゲラと笑いながら、のたうち回るように転がる子です。寝そべってローリングする姿から、「ロール」と名づけました。この子が笑い始めると、お客さんもどこかほっとして、自然とリラックスしてくれるように思います。そのため、ショーの中盤に登場してもらうことが多いです。

私の演奏会には、一緒に暮らしているぬいぐるみを連れて来てくれる方が多くいます。なかにはチケットを、人間用とぬいぐるみ用のふたり分購入し、並んで鑑賞される方も。そのほか、ぬいぐるみとお揃いのコーディネートで来場したり、鞄に忍ばせたぬいぐるみの手をとり手拍子させていたりと、楽しみ方もさまざまです。ぬいぐるみ好きが増えたというより、もともとぬいぐるみと一緒に暮らしていた人たちが、堂々と一緒に外出できるようになったのだと解釈しています。とても喜ばしいことだと思います。
ぬいぐるみは言葉を話せないので、瞬発力を持った自己主張というのが苦手です。それをしてほしいのか、してほしくないのか、などの要求も伝わりにくい。そのため、こちらの愛情表現が一方通行になりすぎないように気をつけています。人間関係でも、片方が勝手に「仲がいい」と思い込みすぎると、相手との関係性がうまくいかなくなることがありますよね。ぬいぐるみとの関係も、それと似ている気がします。ぬいぐるみを前にすると、つい「絶対に自分の味方でいてくれる存在」のように思い込んでしまいがちですが、もし立場が逆だったら、いきなりそう思われるのは少し息苦しいのではないかと思うんです。だからこそ、べたべたしすぎず、適度な距離を保ちながら向き合うことを心がけています。
「運命」って難しいですよね。こちらの思い込みも入りやすいですし。「生涯に渡り大切にすべき運命のぬいぐるみを探そう!」などと意気込んで、自分から探しにいくよりも、偶然の出会いに任せるほうがいいのかもしれません。「運命」は、きっと偶然の中にあるものだと思うんです。たとえば、以前薬局で買い物をしていて、シャンプーのおまけとしてボトルに括りつけられている、小さな山羊のぬいぐるみに出会ったことがありました。目が合った瞬間、どうしても連れて帰りたくなったんです。その子は動くわけでもないし、演奏ができるわけでもありません。演奏会メンバーのように、何か特技があるわけではないんです。しかしとても気に入っていて、練習中にピアノの上に置いて見守ってもらっています。

生身のどうぶつだからこそ成立する関係がある一方で、ぬいぐるみだからこそ見えてくる関係性もあると感じています。どうぶつと一緒に演奏するのも楽しいだろうなと想像しますが、それに至る訓練などの過程を考えると、果たしてそれがどうぶつ自身にとっても楽しいことなのかどうか、疑問が拭いきれません。その点ぬいぐるみは、どうぶつよりタフなのではないかと思うんです。そのため、より気軽に寄り添い、関係を育てていけるところに魅力を感じています。

猫や犬が大好きな「ちゅ〜る」。いくらでも欲しがる姿を見ると、つい求められるままにあげたくなりますが、健康管理を考えるとそうもいきません。そんなジレンマを解消してくれる、画期的なぬいぐるみです。
イワヤ(IWAYA) ちゅ~るあげるね! チワマルちゃん
TREND DESIGN ホーム&インテリア店
¥7,119


何より惹かれるのはこの見た目。猫にも虎にも見える、不思議な魅力があります。この小さなサイズで本物のトラの鳴き声を出すというのも気になるポイントですね。踏ん張って立っている姿も健気で、思わず見入ってしまいます。
イワヤ(IWAYA) わんぱく全開ガオガオタイガー
よりどり屋
¥3,706


カワウソと仲良くなりたい。そんな夢を、このぬいぐるみが一瞬で叶えてくれます。尻尾をぱたぱた振りながら近づいてきてくれる姿を見たら、思わず「懐いてくれている」と感じてしまいそうです。
イワヤ(IWAYA) カワウソ コツメちゃん 電池で動くぬいぐるみ 本体サイズW90×H120×D270mm
neconecocats
¥3,662

※各回答は筆者による要約です。
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