INTERVIEW

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誰にでもある、「好きなもの」。それは私たちの喜び、楽しみ、癒やし、原動力となり、時には人と人とを繋いでくれることも。そんな、人それぞれが持っている「好きなもの」について、お話をお聞きします。今回ご登場いただくのは、ミュージシャンのTENDREさん。アイウェアは自分の気分やキャラクターを映し出す選択のひとつであり、その日の装いを仕上げ、気持ちを切り替えるスイッチのような存在なのだそう。お気に入りの一本にまつわるエピソードから、コーディネートのこだわり、自分らしさを表現するアイウェアの魅力について、たっぷりとうかがいました。

テンダー/ベース、ギター、鍵盤、サックスなどを演奏するマルチプレイヤー、河原太朗のソロ・プロジェクト。2017年にTENDREとしての活動をスタート。自身の音楽活動に加え、他のアーティストへの楽曲提供やプロデュース、ドラマの劇伴、CMナレーション、ラジオ番組のナビゲーターなど幅広く活躍する。2025年10月に5thアルバム『TENDRE』をリリース。2026年にはNetflixシリーズ『ソウルメイト』に出演し、初の演技にも挑戦した。
Instagram:@tanaakin

母がいろんなタイプの眼鏡やサングラスを持っていたので、子供の頃はそれをおもしろがってかけて遊んでいました。真っ赤な大ぶりのサングラスとか、変わった形のものが身近にあって、アイウェア自体は昔から好きだったんです。ただ、僕は視力がいいので、眼鏡は必需品というより嗜好品。ファッションの一部として本格的に集めるようになったのは、TENDREを始めた20代後半から。それまではバンドやサポートベースとして活動していて、みんなでひとつのものを表現することが中心でした。でもソロになって、すべてを自分で決めるようになると、「自分は何を伝えたいんだろう」と考えることが増えていったんです。少しずつ自分らしい歌詞を書けるようになったのと同じように、服や小物など、身につけるものにも自分の意思が表れるようになった気がします。アイウェアをつくる人との繋がりも増えて、そこから選択肢もどんどん広がっていきました。


今のお気に入りは、kearnyの〈desmond〉というモデルです。5年ほど前、知り合いがSNSに上げていたサングラスの写真を見て、いいなと思ったのがきっかけでした。偶然、近くでポップアップを開催しているという情報を見つけてふらっと立ち寄ったら、デザイナーの熊谷富士喜さんがちょうど店番をしていたんです。話してみると音楽の共通の知り合いがすごく多くて、すぐに話が弾みました。アイウェアづくりのコンセプトを聞くと、熊谷さんも音楽好きで、昔のジャズミュージシャンがかけていた眼鏡の曲線などを参考にしているのだそうです。自分のキャラクターにも合う気がして、すぐに購入しました。
モデル名は、優しく語りかけるような柔らかい音色が特徴のジャズサックス奏者、ポール・デズモンドから。好きなミュージシャンの佇まいを自分に重ねることで、そのマインドを思い起こさせてもらっているような感覚があるのかもしれません。黒縁だけど角が立ちすぎていない形で、よく見るとほんの少し緑がかった、写真では分からない色味も気に入っているポイントです。
直感だと思います。ギターやベースを選ぶときも同じで、弾きやすさや作りももちろん大事だけど、まず持ってみて自分のテンションが上がるかどうかが大きいんです。見た瞬間に惹かれるというファーストインパクトがあって、そこから自分との相性を探っていく。アイウェアも同じで、最初に感じるそのきらめきが一番大事だと思っています。傾向としては、クラシカルだったり、少し癖があったりするディテールのものに惹かれることが多いですね。
コーディネートでは、自分の中にある「らしさ」にどれだけ寄り添うか、そこからどれだけずらすかをよく考えます。例えば、僕はローファーが大好きでずっと履いてきたからこそ、たまにスニーカーを履くと、それが「外し」になる。その日をどれくらいフォーマルにするか、どれくらい崩すか、その振れ幅を考えるのが好きなんだと思います。アイウェアも同じで、少しエッジの効いたものを合わせるなら、それを際立たせるのか、逆に服になじませるのか。全体のバランスを見ながら選んでいます。

気持ちが引き締まる感覚があります。会う人に与える印象もアイウェアによってかなり変わると思うので、「今日はこういうキャラクターで臨みますよ」という意思表示のような部分もあるのかもしれません。例えば、ライブで真っ暗なレンズをかけると、目が見えないからこそ奥ゆかしさや怪しさ、クールさが生まれる。それも一種の演出だし、あえてかけないこともまた演出だと思っています。
僕にとってはファッションとして、自分らしさをつくるもののひとつ。でもそれだけじゃなくて、その時々でなりたい自分を思い起こさせてくれるものでもあります。アイウェアって時代とともに流行が変わっていくし、自分自身も年齢を重ねて変わっていきますよね。買ったときにはしっくりこなかったものでも、久しぶりにかけてみたら「今の自分なら意外と似合うな」と思うこともある。そうやって年月とともに見え方が変わっていくのも、長く持っておくおもしろさだと思います。アイウェアを身につけることで、「今日はこういう自分でいよう」と思える。自分らしさを確かめながら、ありたい姿に近づけてくれるスイッチのような存在だと思います。

このサングラスを見ると、昔持っていた一本を思い出すんです。20代の頃、まだお金がなかったときに頑張って買ったMOSCOTのクリアフレーム。当時、「こういうかっこいい自分になりたい」という憧れを込めて手に入れたものだったんです。どこかの現場で紛失してしまって、すごくショックだったことを覚えています。しばらくクリアフレームをかけていなかったんですけど、こちらを見て、その頃の記憶が蘇りました。今の自分がかけたら、どんなキャラクターになるんだろう。そんな興味も含めて、欲しくなった一本です。
JULIUS TART OPTICAL / AR Sun / Champagne - Light Brown lenses シャンパンクリア
中目黒のメガネ・サングラスセレクトショップ "PROPS"
¥52,800

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