INTERVIEW

2026.5.7
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2026/5/7

2026年5月、PAY IDはサービスロゴを刷新しました。手がけたのは、アートディレクターの安田昂弘さん。ロゴが主張するのではなく、その先にいる人の営みや表情が浮かび上がる状態を目指したという今回のデザイン。その背景にある思考とプロセスを紐解きます。

やすだ・たかひろ/アートディレクター、グラフィックデザイナー。クリエイティブアソシエーション「CEKAI」所属。FamilyMart「Convenience Wear」、玉川高島屋S.C.「P.」、京都高島屋S.C.「T8 (専門店)」、TOKYO MARATHON 2026 メインビジュアル、NIKE原宿リニューアルにおけるストアロゴなどのアートディレクション、グラフィックデザインを手掛ける。国内外でのグラフィック作品の発表、展示も積極的に行う。
Instagram:@takahiro_yasuda
普段の生活のなかで、グラフィックデザインは無意識に溢れていて、自然と目に入ってきます。生活の動線や時間の流れのなかにあって、違和感がないこと。いい意味で「普通」であることが重要だと考えています。そのうえで見た人の感情を動かせるか。そのバランスを大切にしています。

ファミリーマートの仕事が大きな体験でした。コンビニは老若男女や外国籍の方まで、非常に幅広い人が買い物に来たり働いていたりする場。そこで強く感じたのは、デザインが先行しすぎることの危うさでした。視覚的に強いデザインは魅力的である一方、ターゲットを狭めてしまうこともあると思います。ある世代には届いても、別の世代には分かりづらくなったり、これは自分のための商品ではないと直感的に思わせてしまう可能性があるからです。本来、パッケージのように多くの人に向けたコミュニケーションは、誰にとっても迷いなく伝わり、扱うことができることが前提にあるべき。そのうえで自然と商品の個性やアイデンティティが立ち上がる状態が理想です。新しさを競う姿勢も一つの才能ですが、僕が目指すのは、嘘をつかず無理をしないこと。過剰に演出せずとも、確かに感じられるデザイン。そのあり方を目指しています


今回のプロジェクトでは、まず長めのテキストを書きました。「このサービスは何を大切にしているのか」を想像し、散文的ではありますが、まず言葉として書き出していきます。そうすると、自然とロゴのあり方やデザインの方向性が浮かび上がってくる。PAY IDのサービスとは何かを僕なりに考えて文章にしました。それを共有しつつ、お互いの認識を揃えることが重要です。稀なケースではありますが、場合によっては、初回の提案がテキストだけで、まだデザインが一切ないこともあります。というのも、考え方が合っていない状態で形の話に進んでしまうと、単なる造形の個人的な好みの問題に議論が収束してしまうからです。本来つくるべきなのは、そうした表層的な部分ではありません。まず思想や方向性があり、そのうえで初めて形が生まれる。その順序を大切にしながら、デザインに落とし込んでいくようにしています。
ロゴは、瞬発的に覚えられる形であることが重要だと思います。ロゴを意識してから、意図を理解するのではなく、まず無意識のうちにぱっと脳に残ること。その引っ掛かりが「伝わる」ことにつながる第一歩だと思います。一方で、ロゴそのものから意味がにじみ出ていなければならないとは考えていません。その思想や意図を受け手に過剰に読み取らせようとすると、どうしても説明過多になってしまいます。こちらが深く考えることは必要ですが、最終的な形はあくまでシンプルであるべきです。デザインプロセスは複雑だったとしても、その先にはすっと頭に入ってくるものがある。その一点に、最も神経を使っています
人が物を買う、売る、あるいはお店に足を運ぶときには、必ずどこかにワクワクする瞬間があります。一方で、大規模な総合ECサイトやフリマアプリのように、顔が見えない取引や、換金するだけのような感覚のサービスも増えています。欲しいものは手に入っても、「この人から買った」という感覚や、「好き」を通じた交流は、希薄になりがちです。
PAY IDは、そうした取引とは異なり、かつての商店街のような、人と人の関係性が感じられる場のような空気を纏うサービスだと思っています。買う側にも売る側にも、それぞれの顔がある。その多様な人格すべてにとってふさわしいロゴを目指しました。ロゴ自体が強く主張するのではなく、その先に「誰かの顔」が自然と思い浮かぶ状態です。サービスではなく、その中にいる人の存在が感じられること。ロゴはあくまで、人や「好き」という感情を引き立てる存在であるべきだと考えています。

PAY IDの発音の一文字目である「ぺ」の形状から着想し、「ペ」を極限まで記号化しました。正三角形はBASEのロゴでもあるティピをイメージし、円はID、つまりそこに集まる人をイメージしています。もっともシンプルな形にすることにより、その奥にある、ものを売る人や、好きなものを探し求める人たちの多様な表情が見えてくると考えました。元々のPay IDの表記から、全て大文字のPAY IDに表記も変えることで、三角形の「A」と円とリンクする「D」の形状も結びつき、必然性のあるロゴデザインになったと感じています。
もともとじっくり考えるタイプではありますが、今回もかなり時間をかけています。最初に起こしたテキストからストーリーが繋がる形で多くのデザインを試す中で、「ペ」と「三角形と円」というアイデアが出てきたときには、「これしかない」という手応えがありました。ただ同時に、あまりにもシンプルな分、どう受け止められるのか想像がつかない不安もありました。少し緊張しながら提示したのを覚えています。それでも最終的には、この形がもっとも自然で、必然性のあるものだと感じていました。彩色についても、細部まで議論を重ねています。
例えば郵便局のマークやメトロの色の円のように、色や形を見ただけで、その役割や存在が直感的に思い浮かぶことがありますよね。そうした普遍性のある認識のされ方に近づいていくことが理想です。今回のロゴは、三角と円という非常にシンプルな構成でありながら、瞬時に記憶される強さを持っていると思っています。そうした意味でも、「この形を見たらPAY IDだとわかる」という認識が自然に広がっていくポテンシャルは十分にあると感じています。今後サービスが拡大する中で、このロゴが多くの場面で使われ、生活に自然と溶け込んでいく。その結果として、誰にとっても自然に認識される存在になっていくことを期待しています。

ロゴ刷新を記念して、「PAY ID 新ロゴ記念 ポイントをどんどんためよう!4週連続キャンペーン」を開催します。SNSへの参加やリワード、ポイントアップなど、さまざまな方法でポイントが貯まるキャンペーンを連続開催。参加するたび、おトクに。ぜひこの機会に、「PAY ID」でのお買いものをお楽しみください。
